2013年3月15日金曜日

形式7010/7030



鉄道作業局時代のバルカン・ファウンドリー7030。下のメーカー竣工図と比較して、煙突が既に加工されているのが判る。



今日の古典機 2012/03/10  形式7010/7030 



「姉妹機・兄弟機・ライバル機シリーズ」と題して、ある車種とある車種を比較しながら、
古典機の深い世界を知っていただこう、という企画の第5回目。


創業間もない京阪神間(1877年開通)に導入された初の「貨物用」テンダー機関車で、
形式は分かれてしまったがほとんど同一スペックで英国Kitson社と、Vulcon Foundly社に各社4両ずつ、計8両が発注されました。ほとんど外見に違いはありませんが、唯一前面の煙室扉のヒンジの形状がわずかに変わっています。

当時の様式に従い、ブレーキはテンダーにしか設置されていません。


バルカン・ファウンドリー7030のメーカー竣工図。


英国の機関車についてはあまり紹介したことが無かったので軽く触れておきます。

●7010形を製造したKitson社(キットソン・キッツオン)は英国にあった、歴史の古いメーカーで、
国内への輸入総数はわずか4形式27両しかありませんが、初期の鉄道で活躍したこと、
長生きしたものもあって数の割には有名なメーカーです。
製造した形式は代表的な1800形(大阪交通科学博物館に保存車あり)、本形式7010形、7450形
以前このブログでご紹介した5130形があります。
1形式1様式のオリジナルが多く、その後の増備は1800形一形式しかありません。
増備分は他社に取られてしまうこともしばしばありました。

●7030形を製造したVulcan Foundly社(バルカン・ファウンドリー)も英国のメーカー。
1号機関車150形を納入したメーカーとして有名ですが、
こちらも我が国への輸入形式は少なく3形式23両、うち一大グループを形成したA8の700形が18両で
他1号機関車150形が1両、本形式が4両しかありません。
ただ、世界的には数多くの機関車を納入していてその数は1961年までに6000両を超えたとも言われます。


キットソン7010。唯一の見極めポイントは前面の煙室扉だ。

話を戻して、テンダー機はあまりその後の譲渡などの展開に恵まれないものですが、
小回りが利くからか8両中実に5両もの機関車が私鉄へ譲渡されています。


Kitson製の7010, 7011は、191411月に石狩石炭(1915年(大正4年)に美唄鉄道に譲渡)に払下げられ、芦別鉱業所専用鉄道で使用されたあと、

70101946年(昭和21年)に三井鉱山(株)に譲渡され、東美唄鉱で使用されました。
1947年(昭和22年)には同社の美唄鉱業所(南美唄)に移り、1952年(昭和27年)10月まで長く使用されました。
70111940年(昭和15年)に樺太の三菱石炭油化工業(株)に移りました。(太平洋戦争後の消息は不明)



Vulcan Foundly社製の7032, 7033は、19154月に越後鉄道(現在のJR越後線、弥彦線)に払下げられ、同社の8, 9となったものの、
9(7033)19158にボイラー爆発事故を起こし大破してしまい廃車に。
その代わりとして19163月に7030が代わって引き渡され、2代目の9となりました。

1927年(昭和2年)10月には、越後鉄道が買収・国有化されたため、両機は国有鉄道籍に戻り、再び「7030形」となったものの、旧番には戻らず、
番号順に7030, 7031(いずれも2代目)となりました。しかし、1929年(昭和4年)10月には、両機とも廃車解体されています。

一方で、輸入してすぐの1876年には、Kitson社製の2両が旅客用への転用の為、神戸工場で旅客用の4-4-0テンダー機に改造されました。そちらは次回説明したいと思います。


末期、美唄鉄道で活躍し人気を博したキットソン7010。砂箱はボールドウィン製の流用のようです。


ひとことコメント:最近タンク機多いなと感じたのでテンダー機関車を。
実に優雅で、気品の感じられる魅力的な形態をした機関車ですねぇ。
この機関車は実物よりも模型のが有名ですかね、あるモデラーの古典貨物列車の作品。
小型レイアウトに1両欲しいですねぇ。。どこか製品化を。。。(あれ、これ何度目かなw)


週2回くらいで更新していく方針にしました。。。忙しくてw